ブランクがあっても大丈夫|卓球を再開するときの注意点

「昔はもっと打てたのに」——久しぶりの一本に戸惑った方へ

学生時代にやっていた卓球を、久しぶりに再開する。ラケットを握った瞬間の感触は覚えているのに、球はなぜか思った場所に飛んでいかない。実は、これはほとんどの方が通る道です。

先に結論をお伝えすると、戻らないのは腕が落ちたからではありません。体の状態も、用具も、卓球という競技そのものも、休んでいる間に少しずつ変わっているからです。

この記事では、ブランクからの再開でつまずきやすい点を整理したうえで、最初の数回をうまく乗り切るための考え方をまとめました。

この記事でわかること

  • ブランク明けに「体がついてこない」と感じる、その理由
  • 使っていなかった用具と、変わってきた卓球のルールについて
  • 再開後の数回をどう組み立てると、無理なく戻していけるか

再開した日に、多くの方がつまずくところ

頭の中のイメージだけが、当時のまま残っている

よくあるのが、動きのイメージと実際の体の間にずれがある状態です。技術の記憶というのは、思っている以上によく残ります。どう振るか、どこに立つか、どのタイミングで打つか。頭は当時のままなのに、そのイメージ通りに体を動かそうとすると、間に合わなかったり、力の入れどころがずれたりします。

このずれ自体は、失われた能力ではありません。イメージが残っているのは、むしろ強みです。ただ、そのイメージにいきなり全力で合わせにいくと、体のほうが驚いてしまいます。最初のうちは、当時の七割くらいの速さで動いているつもりで、ちょうど実際の全力になる。そのくらいの感覚で始めていただくと、体への負担がずいぶん変わります。

体力は、感覚より遅れて戻ってくる

もうひとつのつまずきが、体力の戻り方です。人によって違いますが、動き自体は数回で思い出せても、それを一時間続けられる持久力や、細かく足を動かし続ける力は、もう少し時間をかけて戻ってきます。

そのため、練習の前半は良かったのに、後半になると急に球が浅くなる、足が止まる、といったことが起こります。これは技術の問題ではなく、まだ体が量に慣れていないだけのことが多いです。後半の内容で自分を評価しないでいただきたいと思います。

当時の自分を基準にしてしまう

再開した方の多くが、当時いちばん調子が良かった頃の自分と、今日の自分を比べます。当然の心理ですが、これはけっこうしんどい比べ方です。

基準は、先週の自分に置き直してみてください。先週より一本多くラリーが続いた、先週より汗の出方が違う。そのくらいの粒度で見ていくほうが、再開後の数か月は前に進んでいる実感を持ちやすくなります。

用具は、休んでいる間に静かに変わります

ラバーは、使わなくても劣化します

押し入れに眠っていたラケットを、そのまま持ってこられる方はとても多いです。そして、その多くでラバーが硬くなっています。ラバーの表面は、使っていなくても時間とともに乾いていき、ゴムの弾力も少しずつ落ちていきます。

この状態で打つと、回転がかからない、球が滑る、といった感覚になります。腕のせいだと思って振り方を直そうとすると、かえって遠回りになってしまうことがあります。まずは用具の状態を見てから、というのが安全な順番です。貼り替えるかどうかは好みや予算にもよりますので、判断に迷うようであればコーチにご相談ください。

シューズも、見た目より消耗しています

シューズも同じです。靴底のゴムは経年で硬くなり、グリップが落ちます。卓球は細かく止まる動きが多いので、滑ると足首や膝に思わぬ負担がかかります。

見た目がきれいでも、長く保管していたものは一度確認しておくと安心です。買い直すかどうかは、まず何回か打ってみて、今の自分にどんな動きが必要かが見えてからでも遅くありません。

用具の良し悪しは、一概には決められません

久しぶりに用具店をのぞくと、選択肢の多さに戸惑うかもしれません。ただ、どのメーカーのどれが優れているか、という話ではありません。合う合わないは、その方の打ち方や求める感覚によって変わります。

ですので、口コミだけで決めず、今の自分の振り方を見てもらったうえで選ぶほうが、遠回りが少なくなります。

ルールも、少しずつ見直されてきました

ボールをめぐる変化

ブランクのある方から、よく質問をいただくのがボールの話です。卓球のボールは、これまでに素材が見直されたり、以前より一回り大きくなったりといった変更が行われてきました。学生時代の記憶のまま打つと、弾み方や回転のかかり方が少し違って感じられることがあります。

とはいえ、これは「打ち方をゼロから変えなければいけない」という種類の違いではありません。数回打っていれば、体のほうが自然に合わせていきます。

細かなルールは、公式情報で確認を

サーブの出し方や試合の進め方についても、時代とともに整理されてきた部分があります。ここで具体的な年や数字を挙げることはしませんが、久しぶりに試合に出る予定がある方は、最新の公認ルールを日本卓球協会などの公式情報でご確認ください。大会によって独自の規定が加わる場合もあります。

普段の練習で困ることはほとんどありませんので、まずは打つことから始めていただいて大丈夫です。

最初の数回を、うまく乗り切るために

量は「物足りない」くらいで止めておく

再開初日は、楽しくてつい打ちすぎてしまいます。気持ちはとてもよく分かるのですが、翌日から数日にかけて出る張りや痛みが、そのまま足が遠のく原因になりがちです。

最初の数回は、まだ打てるという段階で切り上げてみてください。物足りなさは、次に来る理由になります。回数を重ねられるようになってから、少しずつ時間を伸ばしていくほうが、結果として早く戻ります。

フォームは、一度まっさらにしてみる

再開は、実はフォームを見直す絶好のタイミングでもあります。長年の癖が、休んでいる間に少しゆるんでいるからです。ここで当時の形を急いで取り戻すより、今の体格や体力に合った振り方に整え直すほうが、この先が長く続きます。

とくに、当時は勢いでカバーできていた部分が、今は無理につながることがあります。ここを変えると変わる、という箇所は必ずありますので、一度見てもらう価値はあります。

痛みが出たら、その日は中止

これはお願いに近い話です。打っている最中に痛みを感じたら、その日はそこで止めてください。もう少しだけ、が長引く原因になります。

そして、痛みが続く場合や、日常生活にも出るような場合は、我慢せず医師にご相談ください。持病をお持ちの方や、以前に痛めた箇所がある方は、再開する前に一度相談しておくと安心です。

よくある質問

Q. 何年も空いていますが、感覚は戻りますか

人によって違いますが、体が覚えている部分はかなり残っています。ただ、戻り方は一直線ではなく、良い日と悪い日を行き来しながら進みます。数回で判断せず、少し長い目で見てください。

Q. 昔の用具をそのまま使ってもいいですか

打つこと自体はできますが、ラバーは時間とともに劣化します。まずは状態を確認し、必要であれば貼り替えを検討するとよいです。判断が難しければ、持ってきていただければ一緒に見られます。

Q. ルールが変わったと聞き、不安です

普段の練習で困る場面はほとんどありません。試合に出る予定がある方だけ、最新の公認ルールを公式情報でご確認ください。細かな点は、その都度お伝えすることもできます。

Q. 昔ほど動けないのが、正直つらいです

最初のうちは、多くの方が同じことを感じます。当時の自分ではなく、先週の自分と比べてみてください。動ける範囲は、続けるうちに少しずつ広がっていきます。

Q. 翌日の筋肉痛がひどいのですが

量が体に対して多かった可能性があります。次回は短めに切り上げ、間隔を空けて様子を見てください。痛みが長く続く場合や、特定の場所が強く痛む場合は、医師にご相談ください。

まとめ

ブランク明けに球が入らないのは、腕が落ちたからではありません。イメージと体のずれ、劣化した用具、そして休んでいる間に見直されてきたルール。理由がはっきりしているぶん、対処もできます。

最初の数回は量を抑えて、フォームは一度まっさらにして、痛みが出たらその日は止める。この三つを決めておくだけで、再開後の景色はずいぶん穏やかになります。

一度でも握ったことがある手は、思っているよりよく覚えています。まずは軽く一本、打つところから戻してみてください。


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