聞きたいことはあったのに、言えないまま帰ってしまう日
レッスンの帰り道で、「結局さっきのあれ、どうすればよかったんだろう」と思い出す。実は、これはとても多いお悩みです。
先に結論をお伝えすると、質問は上手に言う必要がありません。感じたことを、感じたままの言葉で、球を打った直後に伝えるだけで十分に伝わります。
この記事では、質問できなくなる理由を整理したうえで、次のレッスンからそのまま使える聞き方のコツをまとめました。
この記事でわかること
- 質問できないのは性格のせいではなく、理由がはっきりしていること
- コーチに伝わりやすい「聞くタイミング」と「言葉の選び方」
- 分からないことをその場で消しておくための、小さな工夫
質問できないのは、あなたのせいではありません
何を聞けばいいのかが分からない
よくあるのが、「困ってはいるけれど、どこが困っているのか自分でも説明できない」という状態です。うまくいかない感覚だけがあって、それを言葉に変換する道具がまだ手元にない。卓球は動作が速いので、自分の身体で何が起きたのかを自分で見ることができません。これは経験の長さとはあまり関係がなく、上級者でも同じことが起こります。
ですから、「質問の形になっていないと聞いてはいけない」と思わなくて大丈夫です。「なんか変でした」から始めていただいて構いません。そこから一緒に絞り込んでいくのが、コーチの仕事だからです。
原因を探すときは、こちらから「肘の高さでしたか、それとも足の位置でしたか」と選択肢をお出しすることもできます。あなたが最初から正解を持っている必要はありません。入り口のきっかけさえあれば、そこから先は一緒に進められます。
レベルが低いと思われたくない
最初のうちは、こう感じる方がとても多いです。基本的なことを聞いたら呆れられるのではないか、こんなことも知らないのかと思われるのではないか。とてもよく分かります。
ただ、指導する側から見ると、実際はまったく逆です。基本的なところを聞いてくださる方のほうが、伸びる方向がはっきりします。むしろ、分かったふりのまま進んでしまうと、後から直す量が増えてしまいます。質問の内容でその人を評価する、ということは起こりません。
それに、初歩に見える質問ほど、答えると効果が大きい場合があります。ラケットの握り方や立つ位置は、後から変えるほど時間がかかる部分です。早い段階で気になったのなら、それは気づけたということでもあります。
話の流れを止めたくない
「今は説明の途中だから」「次の人が待っているから」と、遠慮して飲み込んでしまう。真面目な方ほど、この傾向が強いように感じます。
けれど、レッスンの時間はあなたのために使われている時間です。止めていいのです。人によって違いますが、遠慮して溜め込んだ結果、同じつまずきを何週も繰り返してしまうほうが、時間としてはずっともったいないと言えます。
今日から使える、聞き方のコツ
打った直後に「今の球、どこが悪かったですか」
いちばん効くのが、これです。打った直後、まだ感覚が身体に残っているうちに聞く。時間が経つほど、自分が何をしたかの記憶は薄れていきます。
「今の球」と言葉に付けるのが大切なポイントです。こう言えば、コーチは直前の一本を思い浮かべながら答えられます。逆に「最近ドライブが入らないんです」と聞かれると、どの場面のどのドライブなのかが分からず、答えが一般論になってしまいます。ドライブとは、ボールに上回転をかけて弧を描かせながら打つ攻撃技術のことです。同じ技術でも、崩れ方は一人ひとり違います。
言い方も短くて構いません。「今の、どうでした?」でも十分に伝わります。
練習の前に「今日はここを見てほしい」と伝える
もうひとつのコツは、始まる前に目的を渡しておくことです。「今日はバックが安定しないので、そこを見てほしいです」「試合でサーブから崩されるのが気になっています」。この一言があるだけで、その日のレッスンの見どころが決まります。
内容は具体的でなくても大丈夫です。「なんとなく最近つまらなくて、気分を変えたいです」でも立派な目的になります。ツッツキとは、台の上で下回転のボールを小さく返す技術ですが、こうした技術名が分からなければ、「低い球を返すやつ」で通じます。
伝えるのが照れくさければ、着替えのあとの一言でも、練習の合間の一呼吸でも構いません。タイミングより、渡しておくこと自体に意味があります。
感覚は、自分の言葉のままでいい
「詰まる感じがします」「重い気がします」「手が遅れてくる感じです」。こうした言い方で、まったく問題ありません。専門用語に翻訳しようとしなくて大丈夫です。
指導する側は、その言葉と実際の動作を照らし合わせながら原因を探します。「詰まる」であれば、立ち位置なのか、打点なのか、身体の向きなのか。あなたの言葉は、その手がかりとして非常に価値があります。きれいに整理された質問より、生っぽい一言のほうが役に立つことも多いのです。
聞き方が変わると、練習の中身が変わります
一問一答で終わらせない
答えをもらったら、その場でもう一本打ってみる。ここまでを一組にすると、話が身体に残ります。聞いて、直して、確かめる。この往復が一度でもあると、家に帰ってからの記憶がまるで違ってきます。
言葉だけで納得して終えてしまうと、次の週には元に戻っていることがよくあります。悪いのは記憶力ではなく、身体で確かめる回数が足りなかっただけです。
「できたとき」も聞いてみる
見落とされがちですが、うまくいったときに聞くのも有効です。「今の、何がよかったですか」。この質問は、再現できる形を手に入れるための質問です。
うまくいかない原因を消していく作業は、どうしても終わりが見えにくくなります。よかった一本の理由をひとつ持っておくと、崩れたときに戻る場所ができます。最初のうちは違いが分かりにくいものですが、続けるうちに自分でも判別できるようになっていきます。
分からないことを、分からないまま持ち帰らない
「もう一回だけ見てください」と言っていい
説明を受けて、頭では分かった。けれど身体では分かっていない。よくあることです。そんなときは、遠慮せずにもう一本お願いしてみてください。一回で飲み込めるほうが珍しい、と考えていただいて大丈夫です。
メモは一行で足りる
レッスンが終わったら、スマホのメモに一行だけ残しておく。「バックは肘を先に出す」「フォアは待ちすぎない」。それだけで、次回の入り口が変わります。書く量が多いと続きませんので、一行と決めてしまうのがコツです。
持ち越しても構わない
その場で聞けなかったことは、次のレッスンの最初に回してしまいましょう。「前回言われたことなんですが」と切り出せば、それだけで続きから始められます。一週間寝かせたことで、聞きたいことがはっきりしている場合もあります。
よくある質問
Q. 質問しすぎだと迷惑になりませんか
なりません。質問の多い方は、こちらとしても現在地がつかみやすく、練習の組み立てがしやすくなります。気になった時点で口に出していただくほうが、結果として時間を有効に使えます。
Q. 用語が分からず、うまく説明できません
用語は不要です。「あの、下から擦るやつ」「さっきの高い球」で通じます。必要な用語はレッスンの中で自然に覚えていきますので、先に勉強しておく必要はありません。
Q. 質問したのに、答えを忘れてしまいます
人によって違いますが、その場での記憶はどうしても薄れます。一行のメモか、身体で一本打ち直しておくのが有効です。忘れたら、また同じことを聞いていただいて構いません。
Q. 痛みがあるときも伝えたほうがいいですか
必ずお伝えください。痛みの出る動作を避けて練習を組み替えることができます。ただし、痛みが続く場合や強い場合は、まず医師にご相談ください。
Q. 何を聞きたいのか自分でも分からないときは
そのまま「よく分からないんですけど、なんか変です」と言ってください。そこから絞り込んでいくのが、パーソナルレッスンの利点です。整理してから聞く必要はありません。
まとめ
質問できないのは、遠慮でも力不足でもなく、聞き方の手がかりを持っていないだけです。打った直後に「今の球、どうでしたか」と聞く。始まる前に今日の目的を渡しておく。感覚は自分の言葉のまま口に出す。この三つで、レッスンの中身は目に見えて変わっていきます。
分からないことを分からないまま持ち帰らない。それだけを決めておけば、上達の速さは自然とついてきます。今日の一本について、ひとこと聞いてみるところから始めてみてください。
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