「体力がないから運動は無理」と、あきらめる前に読んでほしい話
体力に自信がない。息が上がるのが怖い。そんな理由でスポーツから遠ざかっている方は、とても多いです。実は卓球は、動く量を自分で調整しやすい競技です。強度は下げることも、上げることもできます。この記事では、運動量を抑えた練習の組み立て方と、体調に合わせて内容を変える考え方をお伝えします。
この記事でわかること
- 卓球の運動強度を下げる、具体的な3つの方法
- その日の体調に合わせて練習内容を変えるという発想
- 逆に運動量を増やしたい方に向けたメニューの考え方
卓球は「強度を選べる」競技です
テレビで見る卓球は、台から大きく離れて左右に走り、全身で打ち合う姿かもしれません。あれを見て「自分には無理だ」と感じる方は少なくありません。でも、あれは卓球という競技の一つの形にすぎません。
守る範囲がもともと小さい
卓球台の幅は約152センチです。他の球技のコートと比べると、自分が守る範囲そのものが小さくできています。だから、走り回らなくても打球点に届く場面が多い。ここが、体力に不安がある方にとって大きな利点になります。
しかも、台をはさんで向かい合う競技なので、相手とぶつかることがありません。転倒や接触の心配をしながら動く必要がない、というのは思っている以上に気が楽です。屋内で行うため、暑さや寒さ、天候に左右されにくいのも続けやすさにつながります。
動かす量は練習の設計しだい
よくあるのが、「卓球=ずっと走り続けるもの」という思い込みです。実際には、どこへボールを送るかは打つ側が決められます。相手が一歩も動かずに打てる場所へ返し続ける、という練習が普通に成り立ちます。きつくなるかどうかは、競技そのものではなく、その日のメニューで決まります。
振りの大きさも調整できます
スイングを大きくすれば力もいりますし、体も使います。逆に、ラケットを小さく動かして当てるだけの打ち方もあります。どちらが正しいというものではなく、目的によって使い分けるものです。まずは小さく確実に当てるところから入る方も多いですし、それで打球はきちんと返ります。腕を振り回さないと卓球にならない、ということはありません。
つまずきやすいのは、力を抜くと飛ばないのではないか、と心配して力んでしまう場面です。実際には、ボールが軽いぶん、面(ラケットの当てる向き)が安定していれば小さな動きでも台には届きます。むしろ、大きく振るほど当たる位置がぶれて、拾いに行く回数が増える。結果的に体力を使ってしまう、ということも起こります。
強度を下げる3つの方法
1. 動く範囲を限定する
いちばん分かりやすいのが、使うコースを狭めることです。たとえばフォア側(利き手側)の半面だけを使って打ち合う。あるいは、立ち位置を決めて、そこから動かずに返す。フットワーク(足を動かして打球点に入る動き)をあえて外すだけで、運動量はぐっと下がります。それでもラケットの面の作り方や、当てる位置の感覚はきちんと身につきます。
2. ラリー主体にする
ラリーとは、打球を続けて往復させることです。ボールを落とさずに続けることを目的にすると、自然と強く打つ必要がなくなります。ゆっくり、山なりに、相手が取りやすいところへ。この形なら、心拍数が跳ね上がるような場面はほとんど起きません。しかも「続いた」という手応えが残るので、達成感は十分にあります。
3. 休憩をこまめに挟む
最初のうちは、5分打って1分休む、くらいのペースでも構いません。休んでいる間に、いま何が起きていたかを言葉で整理する。その時間があると、体は休まり、頭は動きます。休憩は「サボり」ではなく、上達のための時間だと考えてください。
休みを入れることに、後ろめたさを感じる方もいます。ですが、疲れた状態で続けたフォームは、そのまま体に残ってしまうことがあります。整った状態で打つ時間を増やしたほうが、結果として身につくのが早い。休憩の入れ方も、練習の一部です。
やらないメニューを決めておく
多球練習(コーチが次々にボールを出す練習)のように、連続で動かす形は運動量が上がりやすいメニューです。合わないと感じたら、最初から外しておけば済む話です。何をやるかと同じくらい、何をやらないかを決めておくことが大切です。
その日の体調に合わせて変える
「今日は軽めで」と言えることの価値
レッスンでよく聞かれるのが、「休むほどではないけれど、今日はしんどい」というときはどうすればいいか、という質問です。答えはシンプルで、その場で伝えていただければ内容を変えられます。マンツーマンの形なら、あらかじめ決めた予定を崩しても誰にも迷惑がかかりません。ここは個別で見る練習の、はっきりした強みだと感じています。
顔色や動きは、意外と伝わります
指導する側から見ると、足の出方や打球後の戻り方に、その日の状態は出ます。呼吸が浅くなっていれば、こちらから休憩を提案します。ただ、いちばん確かなのはご本人の感覚です。無理をして続けるより、早めに口に出していただくほうが、結果的に長く続きます。
人によって違いますが、季節や時間帯で調子が変わる方もいます。夏場は同じ内容でも体への負担が変わりますし、仕事帰りの時間帯は疲れの残り方も違います。その前提で組み立てておけば、「今日は思ったより動けない」という日も、無理なく着地できます。
持病や痛みがある方は、必ず医師に相談を
ここは強くお伝えしておきます。持病がある方、通院中の方、関節や腰に痛みがある方、血圧や心臓に不安がある方は、運動を始める前に必ず主治医へご相談ください。どの程度の運動なら差し支えないかは、人によって違います。運動の可否や強度の目安を判断できるのは医師だけです。運動と体の関係については「良いと言われています」といった話も見かけますが、効果や安全性の受け止め方には個人差があります。診断に代わる判断は、指導者にはできません。
逆に、運動量を上げたい方へ
動きの要素を足していく
体を動かしたくて通う方も、もちろんいます。その場合は、限定していた範囲を少しずつ広げます。フォアとバックを交互に、次は左右への振り幅を大きく。同じ「ラリーを続ける」でも、動く量はいくらでも増やせます。
さらに動きたい方には、コースを予告せずに出す形もあります。どこに来るか分からないと、体は自然と反応して動きます。強度を上げたいときは、走る距離を伸ばすより、判断の要素を増やすほうが効くこともあります。
止まる時間を減らす
強度を上げるもう一つの方法は、球と球の間の時間を短くすることです。ボールを拾う時間を減らす、打ち終わってすぐ構え直す。これだけで運動量は変わります。ここでも大事なのは、上げ方を自分で選べるということです。
年齢を理由にしなくていい
年齢や体力を、始めない理由にする必要はありません。卓球は、走る量を減らしても成立し、増やしても成立します。人によって違いますが、少しずつ動く範囲を広げていく方は多く見てきました。まず立って打つ、そこから先は後で決めればいい。そのくらいの構え方で十分だと思います。
よくある質問
Q. 何十年も運動していません。ついていけますか。
最初のうちは、動かずに打てる形から始めれば問題ありません。立ち位置を決めて返すだけでも練習は成立します。ペースは相談しながら決めていけます。
Q. 息が上がるのが不安です。
休憩を多めに挟む前提で組み立てれば、息が上がる場面はほとんど作らずに済みます。しんどいと感じた時点で伝えていただければ、その場で内容を変えられます。
Q. 途中で「今日はもう終わりにしたい」と言ってもいいですか。
もちろん構いません。無理をして翌日に響くより、早めに切り上げるほうが続きます。切り上げ方も含めて、その日の判断です。
Q. 膝や腰に不安があります。卓球はできますか。
まずは主治医にご相談ください。そのうえで、可能な範囲を教えていただければ、動く量を抑えた形で組み立てます。判断の起点は医師の見解になります。
Q. 運動不足の解消になりますか。
どのくらい体を動かすかは、メニューによって大きく変わります。効果の感じ方には個人差がありますので、断定はできません。目的をお聞きしたうえで、内容を調整していきます。
まとめ
卓球は、動く量を調整しやすい競技です。範囲を限定する、ラリー主体にする、休憩を多めにとる。この3つだけで、強度はかなり下げられます。逆に増やしたい方は、動きを足していけばいい。体調に不安がある方は、必ず医師に相談したうえで、無理のない範囲から始めてください。
体力に自信がないことは、始めない理由にはなりません。今の自分に合う強度から、静かに始めてみてください。
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