「自分はどんな卓球をしたいんだろう」と考えはじめた方へ
卓球には、いくつかの代表的な戦い方の型があります。これを戦型(せんけい)と呼びます。台のどこに立ち、どの技術を軸に点を取るか。その組み合わせの違いです。この記事では、代表的な戦型の特徴と、自分に合うスタイルの探し方をお伝えします。先にお伝えしておくと、戦型に優劣はありません。そして、最初から決める必要もありません。
この記事でわかること
- ドライブ主戦、前陣速攻、カットマン、異質型という代表的な戦型の特徴
- 好みと得意な感覚から、自分に向いた方向を探る考え方
- 戦型が決まると用具と練習がどう定まるのか
そもそも戦型とは何を指すのか
「立つ位置」と「軸になる技術」の組み合わせ
戦型は、大きく二つの要素でできています。ひとつは台からの距離。台にぴったり近づいて戦うのか、少し下がった位置から戦うのか。もうひとつは、点を取るときに主に使う技術です。強く回転をかけて攻めるのか、速さで押し切るのか、相手の攻撃を受けて返すのか。
この二つが組み合わさって、その人らしい戦い方になります。台の近くを前陣、少し下がった位置を中陣、さらに後ろを後陣と呼びます。まずはこの言葉だけ頭に入れておくと、以降の話が分かりやすくなります。
戦型に優劣はありません
最初にはっきりお伝えしておきたいことがあります。どの戦型が強い、どれが有利、ということはありません。すべての戦型に、世界の第一線で戦ってきた選手がいます。
よくあるのが、「この戦型は今の時代に合わないのでは」という質問です。流行の波はたしかにあります。ただ、それは戦い方の優劣ではなく、その時代に多い戦型との相性の話です。自分に合った型を突き詰めた人が強くなる。この点はどの戦型でも変わりません。
代表的な四つの戦型
ドライブ主戦型(前陣・中陣)
ドライブとは、ボールの上側をこすり上げて前進回転をかける打ち方です。回転がかかっているので弧を描いて飛び、台に収まりやすくなります。このドライブを軸に攻める戦い方が、ドライブ主戦型です。現在もっとも人数が多いスタイルと言われています。
同じドライブ主戦でも、立つ位置で性格が変わります。前陣型は台の近くで待ち、相手が構え直す前に打ち込んでいく形。中陣型は少し下がり、強い回転と威力のある一発で押し込む形です。向いているのは、しっかり振り抜いて打つ感覚が気持ちいいと感じる方。攻めて点を取りたい気持ちが強い方にも合いやすいと思います。
前陣速攻型
台にぴたりと張りついて、速さで勝負する戦い方です。ボールが弾んだ直後の、まだ高い位置をとらえて押し出します。回転をたっぷりかけるより、相手に考える時間を与えないことを大事にします。ペンホルダー(ペンを持つように握るラケット)の選手に多く見られますが、シェークハンドでもこの戦い方を選ぶ人はいます。
向いているのは、反応の速さに自信がある方、細かい足の動きが苦にならない方。ラリーがぽんぽんと速く続く展開を楽しいと感じるなら、相性がいいかもしれません。人によって違いますが、下がって打ち合うより「詰めて戦うほうが落ち着く」という感覚を持つ方は、この方向を試す価値があります。
カットマン
台から離れた位置に立ち、カットで返し続ける戦い方です。カットとは、ボールの下側を切るように打って強い下回転をかける技術のこと。下回転がかかったボールは相手の台で滑るように止まり、持ち上げにくくなります。相手の強打を受け止めながら、こちらのミスを待ち、隙を見て攻めに転じます。
向いているのは、粘ることが苦にならない方。すぐ点を取れなくても、じっくり組み立てるほうが性に合うという方です。守備型と呼ばれることもありますが、実際には攻めの一本を混ぜる場面も多く、受け身の戦い方ではありません。広く動くので、体力と足の力は求められます。
異質型
異質型は、左右のラバーで性質の違うものを使い、その差で相手を惑わせる戦い方です。表ソフト、粒高(つぶだか)、アンチといった、回転のかかり方がふつうの裏ソフトとは異なるラバーを組み合わせます。粒高で返したボールは相手の回転をそのまま返すような動きをするため、対戦相手は勝手が狂いやすくなります。
向いているのは、力で押し切るより、相手を崩す工夫を考えるのが好きな方。回転の読み合いに面白さを感じる方です。ラケットを回して打つ面を入れ替える操作も入ってくるので、頭を使う場面が増えます。ここは好みがはっきり分かれるところだと思います。
自分に合う戦型はどう探すか
「好きな瞬間」から考える
いちばん分かりやすいのは、練習中にどの瞬間が楽しいかを思い出すことです。大きく振り抜いて決まったとき。速いラリーが続いたとき。相手のミスを誘えたとき。粘って粘って一本返せたとき。この「うれしい」の中身が、そのまま向いている方向のヒントになります。
実は、この感覚はとても大事です。戦型は長く付き合うものなので、やっていて楽しいかどうかが、そのまま続けられるかどうかにつながります。合理性だけで決めると、後から窮屈になることがあります。
得意な感覚から考える
もうひとつの手がかりは、体の使い方の得意不得意です。速く反応するのが得意な方、大きく動いて追いつくのが得意な方、細かく手先を使うのが得意な方。それぞれ相性のいい方向があります。
最初のうちは、自分の得意が自分では分かりません。周りから見えていることのほうが、本人の実感より正確な場合もあります。だからこそ、いろいろな球を打ってみる時間が必要になります。
最初から決めなくていい
戦型は、始めた日に決めるものではありません。むしろ、早く決めすぎるとその型の練習しかしなくなり、選択肢を自分で狭めてしまいます。
基本の打ち方をひと通り覚えてから、その中で「これが好きだ」と感じるものが出てくる。その順番で十分です。途中で変える人も珍しくありません。何年もやってから戦型を変え、そこから伸びた例もあります。決め直せるものだと思っておくと、気持ちが楽になります。
戦型が決まると、用具と練習が定まる
ラケットとラバーを選ぶ軸ができる
戦型が見えてくると、用具選びの迷いが減ります。回転をかけて攻めたいのか、弾きの速さがほしいのか、止める感覚を大事にしたいのか。求めるものがはっきりすれば、選ぶ基準もはっきりします。
ただし、どのメーカーがよいという話ではありません。用具の良し悪しは、一般に使う人との相性で決まります。同じ用具でも、合う方と合わない方がいます。実際に打って確かめること、そして詳しい人に相談することが確実です。
練習メニューに優先順位がつく
戦型が決まると、限られた練習時間を何に使うかが見えてきます。ドライブ主戦なら回転量と足の入れ替え。前陣速攻ならボールを早い位置でとらえる感覚。カットマンなら下がりながらの安定と、攻めに転じる切り替え。異質型なら面の入れ替えと回転の読み。
全部をまんべんなくやるより、軸を決めて重点的に取り組むほうが伸びやすくなります。もちろん基本の技術は共通で必要ですが、その先の時間配分が変わります。
コーチに相談して決める価値
自分の打球を、自分で客観的に見ることはできません。ここが難しいところです。第三者の目で見ると、本人が気づいていない得意が見えることがあります。
たとえば「攻撃が好き」と話す方が、実は打球を止める感覚に優れていたり、粘りに強みがあったりする。そういう食い違いは珍しくありません。もちろん最後に決めるのはご本人です。ただ、決める前に一度、外からの見え方を聞いておく。それだけで選択の質は変わってきます。持病や関節の痛みがある場合は、動きの負担が戦型によって違うので、事前に医師にご相談ください。
よくある質問
Q. 初心者はどの戦型から始めるのがよいですか
まずは戦型を決めず、基本の打ち方を覚えることをおすすめします。フォアハンド、バックハンド、ツッツキ(台の上で下回転のボールを小さく返す技術)などをひと通り。その中で好きな打ち方が見えてきてからで十分間に合います。
Q. 途中で戦型を変えてもいいですか
まったく問題ありません。実は、続ける中で変える方はよくいます。合わないまま続けるより、思い切って変えたほうが伸びることもあります。ただ、変えた直後は一時的に成績が落ちやすいので、時期は相談して決めましょう。
Q. 大人から始めても選べる戦型に制限はありますか
制限はありません。人によって違いますが、体力や可動域を考えて、動く範囲の少ない戦い方を選ぶ方もいます。逆に、動くのが好きで下がって戦う方も多くいます。年齢だけで決まるものではありません。
Q. 一番強い戦型はどれですか
どれが強いという答えはありません。どの戦型にも高いレベルで戦ってきた選手がいます。大切なのは自分に合った型を深めることで、型そのものの優劣ではありません。
Q. 戦型は用具で決まるのですか、打ち方で決まるのですか
打ち方が先で、用具は後です。まず、やりたい戦い方があり、それを助けるために用具を選びます。用具から入ると、合わなかったときに何が原因か分かりにくくなります。
まとめ
戦型は、台のどこに立ち、どの技術を軸にするかの組み合わせです。ドライブ主戦、前陣速攻、カットマン、異質型。それぞれに持ち味があり、優劣はありません。探し方の入口は、練習中にどの瞬間が楽しいかという実感と、自分の得意な体の使い方です。
そして、最初から決める必要はありません。基本をひと通り覚えてから、好きなものが見えてくる。その順番で大丈夫です。戦型が定まれば、用具の選び方も練習の優先順位も、自然とはっきりしてきます。
まずは、いろいろな打ち方を試してみてください。「これが好きだ」と思える一本が、あなたの卓球の入口になります。
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