卓球肘・手首の痛みが気になったら|負担を減らす考え方

ひじや手首の違和感、我慢したまま打っていませんか

卓球は、ラケットを握って何百球も振る競技です。だからこそ、ひじや手首に張りや違和感を覚える方は少なくありません。ただ、痛みそのものへの対処は医療の領域です。この記事でお話しするのは、その手前にある「体にかかる負担をどう減らすか」という考え方。力みの抜き方、フォームの見直し、用具の選び直し、練習量の増やし方をまとめました。すでに痛みがある方、痛みが続いている方は、自己判断をせず必ず医療機関を受診してください。

この記事でわかること

  • ひじや手首に負担が集まりやすい場面と、その背景にあること
  • ラケットの重さやグリップを見直すときの考え方
  • 練習量を段階的に調整していく組み立て方

負担が集まりやすい場面を知る

力みが抜けないまま振り続けている

よくあるのが、一球ごとに全身へ力を入れたまま打ち続けているケースです。強く打とうと思うほど、握力も肩も固まります。すると、本来なら体全体で分散されるはずの負担が、握っている手やひじの一点に集まってしまうことがあります。

実は、速いボールは強く握ることでは生まれません。振り出しまではラケットを支える程度にゆるく持ち、当たる瞬間だけ力が入る。この「抜く・入れる」の落差がスピードをつくります。最初のうちは、ゆるく持つと飛ばない気がして不安になるものです。まずは半分の力で打つ練習から入ると、感覚がつかみやすくなります。

手首だけでボールを操作している

回転をかけたい、コースを変えたい。そう思ったときに、手首の角度だけで何とかしようとする方は多いです。ラケットの向きを手首で細かく作りにいくと、動きの幅が大きくなり、小さな関節に仕事が集中しがちです。

本来は、足の向き、腰の回転、ひじの位置。この順番で打つ方向をつくり、手首は最後の微調整にとどめれば足ります。人によって違いますが、手首を大きく使う技術ほど、体の土台ができていないと負担が偏りやすいと言われています。手首をひねる動きに違和感が出る場合は、その技術の練習を続ける前に医療機関で相談してください。

練習量が急に増えたとき

大会前、合宿、ブランク明け。球数が一気に増えたタイミングで違和感を訴える方は、少なくありません。ふだん週に一回打っている方が急に毎日打てば、同じ動きの反復回数は何倍にもなります。

体が慣れるまでには時間がかかるものです。「これくらいなら大丈夫」という感覚は、去年の自分や、隣で打っている人の基準かもしれません。今の自分の量を基準に、少しずつ足していく発想へ切り替えたいところです。

用具を見直すときの考え方

ラケット単体ではなく総重量で見る

重すぎるラケットを振り続けると、腕の負担が増えることがあります。ここで見落とされやすいのが、カタログに載っているのはラケット本体の重さで、実際に振るのは両面にラバーを貼った状態だという点です。ラバーは一枚で数十グラムありますから、合計するとかなり変わります。

一度、手持ちの用具を貼った状態のまま量ってみてください。数字を知るだけでも判断の材料になります。軽ければ良い、重ければ悪い、という単純な話ではありません。自分の振り方に対して重すぎないか、という視点で見ます。

バランスとグリップの太さ

同じ重さでも、先端側に重心があるラケットは振ったときに重く感じます。逆に手元寄りなら軽く扱えますが、その分ボールが飛びにくく感じる方もいます。どちらが良いかは好みと戦型によって変わります。

グリップの太さも見直したい部分です。細すぎると握り込む力が必要になり、太すぎると指が回りきらない。合わないグリップを無理に握り続けることで、力みにつながることがあります。テープを巻いて太さを調整する方法もありますので、迷ったらコーチに握りを見てもらってください。

変えるのは一度にひとつだけ

用具を見直すときのコツは、同時に複数を変えないことです。ラケットもラバーもグリップも一度に替えてしまうと、何が良くて何が合わなかったのか分からなくなります。

一つ替えたら、しばらく同じ条件で打つ。特定のメーカーや品番に優劣があるわけではなく、自分の体と振り方に合うかどうかが基準です。

練習の組み立てを整える

増やすときは段階的に

量を戻すとき、増やすときは、一段ずつが基本です。時間だけで管理すると、内容の濃さが見えません。「今日はどの練習を何分やったか」を簡単に書き残しておくと、増え方の急さに自分で気づけます。

目安として、前の週より大きく跳ね上がるような増やし方は避けたいところです。人によって違いますが、体が慣れる速さには個人差があります。

同じ動きばかりを続けない

一つの技術を集中して反復すると、同じ関節に同じ角度の負担がかかり続けることになります。フォアドライブだけを何十分も打つより、フットワークや台上の練習を挟むほうが、動きの偏りは減らせます。

上達の面でも、疲れて形が崩れたまま打ち続けた球数は、あまり身になりません。区切りをつけて種目を変えるほうが、質は保ちやすくなります。

フォームの点検は人に見てもらう

自分の振り方は、自分では見えません。動画で撮る、コーチに見てもらう。どちらでもかまいませんが、外から確認する機会をつくってください。

力みや手首の使いすぎは、本人にとっては「いつもの感覚」になっていることがほとんどです。レッスンでよく聞かれるのが「力を抜いているつもりなんですが」という言葉。つもりと実際の差は、外から見ると案外はっきり分かります。

痛みを感じたときの向き合い方

続けるかどうかを自分で決めない

違和感が出たとき、休むべきか続けてよいかの判断は、医療機関で行うものです。ここまでお伝えしたのは、あくまで負担を減らすための練習と用具の考え方であって、痛みへの対処法ではありません。

痛みがある、あるいは繰り返し出る場合は、必ず医療機関を受診してください。そのうえで、通ってよいと言われた範囲で、どう練習を組み立てるかを一緒に考えていけます。

我慢は上達につながらない

痛みをこらえて打つと、その痛みを避けようとして、無意識にフォームが変わっていくことがあります。かばう動きが癖になると、あとから戻すのに時間がかかります。

早めに手を打つほうが、結果的に卓球を長く続けられます。休むことは、後退ではありません。

よくある質問

Q. 練習中にひじが痛くなりました。少し休めば打っていいですか

その判断は医療機関で受けてください。痛みの原因は人によって違いますし、素人判断で続けると長引くことがあります。まず受診し、指示された範囲で再開するのが安心です。

Q. ラケットを軽くすれば負担は減りますか

軽くすることで振りやすくなる方はいますが、それだけで解決するとは限りません。振り方や力みが背景にあることもあります。用具の変更と合わせて、フォームも一度見てもらうのがおすすめです。

Q. サポーターやテーピングは使ったほうがいいですか

使う・使わないの判断や巻き方については、医師や専門家の指示に従ってください。この記事では効果についてはお答えできません。痛みがあるうちは、まず受診が先です。

Q. 子どもが手首が痛いと言っています

成長期の体は大人と条件が異なります。「そのうち治る」と様子を見るより、早めに医療機関で診てもらってください。そのうえで、練習量や用具の見直しを一緒に検討していきましょう。

Q. しばらく休んだあと、どのくらいから再開すればいいですか

再開の可否と時期は医療機関の判断に従ってください。そのうえで練習に戻る際は、以前と同じ量からではなく、少ない球数と軽い強度から段階的に戻していくのが基本です。

まとめ

ひじや手首の負担は、力みや手首の使いすぎ、合わない用具、練習量の急な増加といった条件が重なったときに大きくなりやすいものです。減らす方向は四つ。力を抜くこと、体の順番でフォームをつくること、総重量とグリップを見直すこと、量を段階的に増やすこと。どれも、今日から少しずつ試せます。

そして、痛みがある場合や続く場合は、必ず医療機関を受診してください。それは大前提です。長く卓球を楽しむために、まずは「振り方と用具を軽くする」という視点を、一つ持ち帰っていただけたらうれしいです。


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