昨日の練習で何を直そうとしたのか、思い出せますか
練習ノートというと、真面目な人がやるもの、というイメージがあるかもしれません。実はそうではなく、忘れっぽい人ほど効く道具です。書くと課題が言葉になり、次に何をすればいいか迷わなくなります。この記事では、3行で終わる書き方と、無理なく続けるためのコツをまとめました。
この記事でわかること
- 練習ノートをつけると、練習の何が変わるのか
- 書く項目は5つだけ。3行で終わらせる書き方
- 動画とのセットの使い方と、見返すタイミング
ノートをつけると、練習の何が変わるのか
課題が「言葉」になる
練習中は感覚で動いています。「なんとなく打ちにくかった」「今日は入らなかった」。この状態のままだと、次の練習でも同じ場所でつまずきます。
書くと、その感覚を言葉に置き換えることになります。「バック側に来た速い球で体が突っ込んでいた」というところまで落とせれば、次にやることは自然と決まります。言葉にする作業そのものが、課題の輪郭をはっきりさせてくれるのです。
最初のうちは、うまく言葉にできなくて構いません。「バックが変だった」でも十分です。それを何回か書いているうちに、だんだん具体的になっていきます。書けば書くほど、自分の中の観察の解像度が上がっていく感覚があります。
言葉になった課題は、人に相談できる形になります。「なんとなく調子が悪い」では助言のしようがありませんが、「バック側の速い球で詰まる」と言えれば、そこから話が進みます。
忘れないから、積み上がる
レッスンでよく聞かれるのが「この前教わったこと、なんでしたっけ」という質問です。まったく普通のことで、人の記憶はそういうものです。
ただ、忘れたまま次に進むと、毎回ふりだしに戻ってしまいます。同じ助言を三度受けて、三度とも新鮮に感じる。これはとてももったいない状態です。一行でも書き残しておけば、次の練習の入口に立てます。
上達の実感が持てる
三か月前のページを開くと、自分がそこで何に悩んでいたかが見えます。そして多くの場合、その悩みはもう悩みではなくなっています。
上達は毎日のなかでは見えません。日々の変化が小さすぎるからです。記録があると、過去との差という形で変化が見えます。伸び悩んだと感じるときほど、この差が支えになってくれます。
書く項目は5つだけ
日付、やった練習、できたこと
まず日付。曜日や場所も一緒に書いておくと、後で条件を思い出しやすくなります。次に、その日にやった練習の内容。「フォアクロス」「フットワーク」「サーブ練習」といった単語の羅列で構いません。
そして、できたこと。ここは必ず入れてください。よくあるのが、反省点ばかり並べて読み返すのがつらくなるパターンです。ひとつでも良かった点を書いておくと、ノートが自分を励ましてくれる場所になります。
できなかったこと、次回やること
できなかったことは、責める言葉ではなく事実で書きます。「下手だった」ではなく「ツッツキが浮いた」。ツッツキとは、台の上で下回転のボールを小さく返す技術のことです。事実で書いておくと、次に手が打てます。
最後に、次回やること。これが一番大事な行です。「浮かないよう、ラケットの角度を寝かせすぎない」のように、動作をひとつだけ決めておきます。複数書くと、どれもやらずに終わりがちです。
ここで気をつけたいのが、「もっと頑張る」「集中する」といった気持ちの言葉で終わらせないことです。気持ちは翌週まで持ちません。体のどこをどうするか、という形にしておくと、次の練習でそのまま実行できます。
5つ書いても、3行で終わります
項目は5つですが、長さは3行で足ります。たとえばこんな具合です。
9月5日、フォアクロスとフットワーク。/フォアの連続が前より続いた。ツッツキが浮いて狙われた。/次回はツッツキの角度を意識する。
これだけです。2分もかかりません。丁寧に書こうとするほど続かなくなるので、短さを優先してください。
続けるための、現実的な工夫
スマホのメモで十分です
ノートと鉛筆を用意しなければ、と考えると、それだけで腰が重くなります。スマホのメモアプリで問題ありません。むしろ、荷物が減るぶん続きやすいと思います。
音声入力を使えば、体育館を出て歩きながらでも残せます。人によって違いますが、帰りの車の中や電車の中が、いちばん記憶が新しくて書きやすい時間帯です。
動画とセットにすると、記憶が戻る
文字だけでは、フォームの細かいところまでは残せません。そこで、月に一度でいいので、自分が打っている様子を撮っておきます。スマホを台の横や後ろに置くだけで十分です。
動画のいいところは、思い込みとのズレが見えることです。ラケットを引きすぎていない、と思っていたのに、映像では大きく引いている。こういう発見は自分の感覚だけでは出てきません。
ノートに「9月5日の動画あり」と一行入れておくと、後で探しやすくなります。文字と映像が結びつくと、そのときの感触まで戻ってきます。
書けない日があっても気にしない
三日坊主で終わる人の多くは、一日空けた時点でやめてしまいます。空いた日は空いたままで構いません。次の練習からまた書けば、記録としての役目は果たします。
完璧に埋まったノートより、抜けだらけでも半年続いたノートのほうが役に立ちます。続けるコツは、ハードルを下げ続けることです。書くのが面倒に感じたら、その日は「次回やること」の一行だけでも構いません。
見返すタイミングは「練習前に前回分だけ」
全部を読み返さなくていい
書いたものを見返さなければ、ただの日記になってしまいます。ただ、毎回すべてを読むのは大変です。
おすすめは、練習に入る前の1分間、前回のページだけを見ること。前回の「次回やること」が目に入れば、その日の練習に軸ができます。これだけで、なんとなく打って終わる時間が減ります。
月に一度、ざっと眺める
もうひとつは、月末などに1か月分をまとめて眺める時間です。同じ課題が何度も出てきていれば、それが今の自分の中心的なテーマだとわかります。
同じ言葉が三回以上並んでいたら、練習の組み立て方そのものを変えるサインかもしれません。そのページを持ってコーチに相談すると、話が早く進みます。
試合の前に読み返す
大会の前日に、直近の数ページを読み返すのも効果的です。自分が何を積み重ねてきたかが確認できると、当日の落ち着きが変わります。
そのとき見るのは、できなかったことよりも、できたことの行です。不安な場面で自分を支えてくれるのは、うまくいった記憶のほうだからです。
よくある質問
Q. 子どもにも書かせたほうがいいですか
小学生なら、できたことと次回やることの2行だけでも十分です。保護者の方が内容を採点せず、書いたこと自体を認めてあげると続きやすくなります。
Q. 毎回同じことしか書けません
それは悪いことではなく、課題がはっきりしている証拠です。同じ内容が続くときは、目標を「入る」から「角度を寝かせる」のように、動作の言葉に置き換えてみてください。
Q. 試合の結果も書くべきですか
スコアより、どこで流れが変わったかを一行残すほうが役に立ちます。人によって違いますが、勝敗だけを記録すると読み返すのがつらくなることがあります。
Q. コーチに見せたほうがいいですか
見せていただけると、こちらも助言が具体的にできます。ただし見せる前提で書くと続きにくいので、まずは自分のために書いてください。
Q. 動画はどのくらい撮ればいいですか
一回につき30秒から1分で十分です。長く撮ると見返さなくなります。同じ角度で撮り続けると、月ごとの比較がしやすくなります。
まとめ
練習ノートは、記憶を助けるための道具です。日付、やった練習、できたこと、できなかったこと、次回やること。この5項目を3行に収めれば、2分で終わります。
スマホのメモで構いませんし、書けない日があっても構いません。月に一度の動画と組み合わせれば、感覚と事実のズレも見えてきます。見返すのは、練習前に前回分だけ。それで十分に効きます。
今日の帰り道に、一行だけ書いてみてください。その一行が、次の練習の始まりになります。
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