シニア世代の卓球|無理なく長く続けるための工夫

体は動かしたい。でも、無理はしたくない方へ

年齢を重ねてから何か運動を始めたいと思っても、体への負担が心配で踏み出せない。そんな声をよく聞きます。卓球は、その「心配」との折り合いをつけやすい競技のひとつと言われています。この記事では、シニア世代に卓球が向いていると言われる理由と、無理なく長く続けるための具体的な工夫をまとめました。がんばりすぎない続け方を、一緒に考えていきましょう。

この記事でわかること

  • シニア世代に卓球が向いていると言われる三つの理由
  • 体に負担をかけずに続けるための、練習前・練習中・練習後の工夫
  • 用具えらびと、痛みが出たときの考え方

シニア世代に卓球が向いていると言われる理由

相手と接触しない競技である

卓球は、台をはさんで相手と向き合う競技です。バスケットボールやサッカーのように相手とぶつかることがありません。転倒の原因になりやすい接触プレーがない、というのは、体への不安がある方にとって大きな安心材料になります。

コート自体も広くありません。台のまわり数歩分が主な行動範囲です。走り込む距離が短いということは、それだけ息が上がりにくく、足腰への衝撃も抑えやすいということでもあります。もちろん本格的に打ち合えば運動量は上がりますが、その強度を自分で選べるのが卓球のいいところです。

自分のペースで動ける

実は、卓球はラリーの速さを自分たちで決められる競技です。相手と示し合わせて、ゆっくりしたテンポで山なりのボールを続けることもできますし、間を長めにとることもできます。時間で区切られた試合と違い、練習の場では「一球打ったら少し休む」という進め方も自由です。

一人で壁打ちのような反復をする必要もありません。マシン(自動でボールを出す機械)を使えば、来るボールの速さも間隔も一定にできます。人によって違いますが、こうした「予測できるボール」から始めたほうが、体をならしやすいという方は多いです。

頭を使う場面が多い

卓球は回転の読み合いのスポーツと言われます。相手が今どんな回転をかけたのか、次はどのコースに来そうか。そうした判断を、一球ごとに繰り返します。体を大きく動かさなくても、考える要素がたくさんあるわけです。

ただし、こうした頭の使い方が健康や認知の面にどう作用するかについては、断定できることではありません。「体を動かしながら考えるのは楽しい」という実感の部分を、まずは大事にしていただければと思います。効果を目的にしすぎると、かえって続かなくなることもあります。

無理なく続けるための四つの工夫

ウォームアップは長めに、ゆっくりと

年齢を重ねるほど、体が動きはじめるまでに時間がかかると言われています。よくあるのが、若いころと同じ感覚のまま、二、三分で打ちはじめてしまうケースです。

おすすめは、いつもの倍の時間をかけること。肩をゆっくり回す、足首を回す、その場で軽く足踏みをする。それから、ネット際で山なりのボールを軽く打ち合う時間を長めにとります。汗ばむ手前くらいまで、じっくり体を起こしてから本格的な練習に入ると、後半の動きが変わります。

休憩は「疲れる前」にとる

疲れてから休むのでは、少し遅いことがあります。最初のうちは楽しくて動き続けてしまうものですが、あらかじめ「十五分打ったら一度座る」と決めておくと、体力の落ち方がゆるやかになります。

水分も、のどが渇く前に少しずつ。空調の効いた屋内でも、思っている以上に汗をかいています。休憩中に肩や太ももを軽くさすっておくと、次のラリーで動き出しやすくなります。

動く範囲をあらかじめ決めておく

すべてのボールを追いかけないこと。これが、長く続けるうえでとても大事な考え方です。台の端まで飛んでいったボールに無理に手を伸ばすと、体がねじれて腰に負担がかかりますし、足が届かないまま踏み出すと転倒にもつながります。

レッスンでよく聞かれるのが、「取りに行かないと相手に悪いのでは」という質問です。まったく気にしなくて大丈夫です。「ここからここまでは自分で取る、それより外は見送る」と最初に決めておく。むしろそのほうが、決めた範囲の中での動きが良くなり、上達も早くなります。

痛みが出たら、その日は中止する

痛みは我慢して乗り越えるものではありません。膝でも腰でも肩でも、痛みを感じたらその日の練習はそこで終える。これを徹底してください。一日休むことで失うものより、無理をして数週間動けなくなることのほうが、ずっと大きな損失です。

そして、持病がある方、膝や腰、心臓や血圧に不安がある方は、運動を始める前に必ず主治医に相談してください。どのくらいの強度までなら大丈夫か、避けたほうがいい動きは何か。専門家に確認してから始めるのが、いちばん確実です。痛みが続く場合も、自己判断せず医療機関を受診してください。

用具と環境で負担を減らす

ラケットは軽めのものを検討してみる

ラケットの重さは、思っている以上に体への負担に関わります。一般に、重いラケットのほうがボールに力を伝えやすいと言われますが、その分だけ腕や肩に返ってくる負担も増えます。

長時間振り続けても疲れにくいこと。これを優先するなら、軽めのラケットを試してみる価値があります。ただし、どのメーカーのどの品番がいいかは、握りの太さや手の大きさ、打ち方の好みによって変わります。軽ければいいという単純な話でもありません。実際に何本か握らせてもらってから決めるか、コーチに相談してみてください。

足元と服装を軽く見ない

意外と見落とされがちなのが、シューズです。卓球は横方向への小さな移動が多い競技なので、底が滑りにくく、足をしっかり支えてくれるものを選びたいところです。履き慣れていない靴でいきなり動くと、それだけで足首に負担がかかります。

服装は、動きをさまたげない、体温調節がしやすいものを。空調の効いた場所でも、練習中と休憩中では体感温度がかなり変わります。羽織るものを一枚持っていくと、休憩で体が冷えるのを防げます。

よくある質問

Q. 六十代から始めても遅くないですか

遅くありません。卓球は初めての方でも、山なりのボールを打ち合うところからすぐにラリーが成立しやすい競技です。人によって違いますが、体力より「続けられる形を見つけられるか」のほうが大きいと感じています。

Q. 膝が悪いのですが、できますか

まずは主治医にご相談ください。そのうえで、動く範囲を狭くする、椅子を近くに置いて休憩をこまめにとるなど、負担を抑える方法はいくつもあります。無理のない範囲を専門家と一緒に決めてから始めるのが安心です。

Q. どのくらいの頻度がいいですか

一概には言えませんが、週に一回程度から始めて、体の反応を見ながら調整する方が多いです。翌日に強い疲れが残るようなら、間隔をあけるか、一回の時間を短くしてみてください。

Q. 運動不足が心配なのですが、卓球で解消できますか

体を動かす機会が増えることは確かですが、健康への効果は個人差が大きく、断定できるものではありません。まずは「楽しく通える」ことを目安にしていただくのがよいと思います。

Q. 若い人と一緒だとついていけないのでは

心配いりません。ボールの速さやテンポは、打ち合う二人で自然に決まっていきます。それに、力の差があるほど相手の練習にもなるので、気兼ねする必要はありません。

まとめ

卓球は相手と接触せず、動く速さも範囲も自分で調整しやすい競技です。だからこそ、体への不安がある方でも取り組みやすいと言われています。長く続けるための工夫は、ウォームアップを長めにとること、疲れる前に休むこと、動く範囲を決めること、そして痛みが出たら中止すること。この四つです。

用具は軽めのラケットも選択肢に入れつつ、迷ったら相談を。持病や膝腰に不安のある方は、必ず事前に医師に確認してください。

一日のなかで、少しだけ体を動かして、少しだけ頭を使う。その時間が心地よければ、続けることはむずかしくありません。まずは一球、軽く打ち合うところから始めてみてください。


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