「みんな小学生からやってる」――中学で卓球を始めた自分に焦っているあなたへ
結論からお伝えすると、中学から卓球を始めても、十分に間に合います。ただし、追いつくには順番があります。いきなり経験者と同じ練習をしても、差はなかなか縮まりません。この記事では、中学スタートの人がぶつかりやすい壁と、その越え方、そして1年目・2年目にどんな目標を置けばいいかを、順を追ってお伝えします。
この記事でわかること
- 中学から始めた人がつまずきやすい三つの壁と、その正体
- 経験者との差を縮めるための、練習の優先順位
- 1年目・2年目で置くべき目標と、焦らないための考え方
中学から始める人は、実はとても多い
スタートラインは、思っているより横並び
部活の見学に行くと、すでにラリーが続いている先輩たちが目に入ります。そこで「自分だけ遅れている」と感じてしまう。実は、中学の卓球部で本格的に始めたという人は、とてもたくさんいます。小学生のうちからクラブに通っていた人のほうが、むしろ少数派という学校も珍しくありません。
レッスンでよく聞かれるのが「今から始めて遅くないですか」という質問です。卓球は身長やパワーだけで決まる競技ではなく、技術と判断の占める割合が大きい種目です。だからこそ、あとから始めた人が伸びる余地は十分にあります。
最初にぶつかる三つの壁
中学から始めた人が感じる苦しさは、だいたい三つに分けられます。
一つ目は、経験者との明らかな差です。同じ台に立っても、相手はボールを返してくるのに自分は返せない。この差は最初の数か月、はっきり見えます。
二つ目は、基礎練習が地味なことです。素振り、フットワーク、同じコースへの連続打ち。試合のような楽しさはありません。
三つ目は、しばらく試合で勝てない期間があることです。大会に出ても一回戦で終わる。この時期が、いちばん心が折れやすいところです。
その壁は「順番」で越えられる
大事なのは、この三つを根性で乗り越えようとしないことです。ここを変えると変わります、というポイントが、それぞれにあります。地味な基礎練習にも意味があり、その意味が分かると取り組み方が変わります。勝てない期間にも、伸びているかどうかを測る別のものさしを持てば、気持ちの持ち方が変わります。
なお、部活には部活の方針があり、顧問の先生や先輩が積み上げてきた練習の形があります。ここでお伝えするのは、その練習をより自分のものにするための考え方です。まずは部の練習を大切にしてください。
追いつくための順番は「返せる」が先
フォームより先に、まず一球返す
最初のうちは、きれいなフォームを覚えようとする方がとても多いです。気持ちはよく分かります。ただ、順番としては「返せること」が先です。多少形が崩れても、相手のコートにボールが入る。まずはそこを目標にします。
なぜかというと、返せないとラリーが続かず、練習量そのものが増えないからです。ラリー(打ち合いが続くこと)が10本続く人と、3本で終わる人では、同じ30分でも触るボールの数が三倍違います。フォームは、ボールをたくさん打つ中で少しずつ整っていきます。
具体的には、ラケットを大きく振らないこと。当てて、前に押す。それだけで入る球はかなり増えます。振りを大きくするのは、入るようになってからで間に合います。
サーブは一人でも練習できる、いちばんの近道
差をつけやすいのが、サーブです。理由は単純で、相手がいなくても練習できるからです。ラリー練習は相手が必要ですが、サーブは台とボールがあれば一人で何十本でも出せます。
しかも、サーブは試合で必ず自分から使える技術です。得点の半分は自分のサーブから始まります。ここを磨いておくと、ラリー力で劣っていても試合が組み立てられます。
まずは種類を増やすより、一つのサーブを狙った場所に入れられるようにするのがおすすめです。同じ長さ、同じコースで10本続けて入る。それができてから、回転の種類を増やしていきます。人によって違いますが、一つのサーブが安定するまでに数週間かかることは普通です。焦らず、毎日少しずつで大丈夫です。
下回転の処理を、早めに覚えておく
もう一つ、早い段階で手をつけておきたいのが下回転の処理です。下回転とは、ボールが手前に戻ろうとする向きに回っている状態のこと。これをそのまま打つと、ネットに引っかかります。
初心者同士の試合では、下回転のサーブが返せずに終わることがとても多いです。ここを処理できるだけで、勝てる相手が一気に増えます。
まず覚えたいのがツッツキです。ツッツキとは、台の上で下回転のボールを小さく返す技術のこと。ラケットの面を上に向け、ボールの下側を薄く切るように送ります。強く打とうとせず、返すことに集中する。よくあるのが、力を入れて浮かせてしまう場面ですが、これは面が寝すぎているか、振りが大きすぎることが多いです。細かい修正はコーチや顧問の先生に見てもらうのが確実です。
1年目・2年目の目標の置き方
1年目は「できることの数」を数える
1年目に勝ち負けを目標にすると、ほとんどの人が苦しくなります。相手には数年分の積み重ねがあるからです。そこで、ものさしを変えます。
1年目に数えるのは、できるようになったことの数です。フォア打ちが20本続いた。サーブが10本連続で入った。ツッツキで返せるようになった。試合で1ゲーム取れた。こうした小さな達成を、ノートに書き出していきます。
書き出すと、負けた日にも前に進んだ実感が残ります。最初のうちは結果が出ない時期が続きますが、記録が積み上がっていれば、自分が止まっていないことが分かります。
2年目は「自分の勝ち方」を一つ持つ
2年目に入ったら、目標を少し変えます。すべてを平均的に伸ばすのではなく、これで点を取る、という形を一つ作ります。
たとえば、得意なサーブを出して、返ってきた球を決めにいく。あるいは、粘り強くつないで相手のミスを待つ。どちらでも構いません。試合で使える形が一つあると、競った場面で迷わなくなります。
このころには、経験者との差はかなり縮まっています。差が残っているとしたら、多くは判断の速さです。次にどこへ来るかを読む力は、試合の数でしか身につかない部分があります。だからこそ、2年目は練習試合の機会を大切にしてほしいと思います。
焦らないことが、いちばんの近道
最後にお伝えしたいのは、焦らないことです。中学の3年間は短く感じますが、卓球を続ける時間はその先にも長く続きます。高校で伸びる人、社会人になってから強くなる人もいます。
うまくいかない時期に、練習量だけを一気に増やすと、体を痛めることがあります。痛みが出たときは無理をせず休み、続くようなら医師に相談してください。長く続けることが、結局はいちばん上達につながります。
よくある質問
Q. 中学2年から始めるのは、さすがに遅いですか
遅くはありません。残り時間が短いぶん、優先順位をつけることが大切になります。サーブと下回転の処理、この二つに絞って取り組むと、限られた期間でも試合の形が作れます。
Q. 経験者の先輩とラリーが続かず、申し訳なくなります
最初のうちは誰もが通る場面です。続かないこと自体は問題ではありません。返す本数を一本ずつ増やすことを目標にして、まずは大きく振らないところから始めてみてください。
Q. 家でできる練習はありますか
サーブ以外にも、素振りと、ボールをラケットで上に突く練習は場所を選びません。人によって違いますが、短時間でも毎日触れているほうが、感覚は保ちやすいと言われています。無理のない範囲で続けましょう。
Q. 用具は良いものに替えたほうが早く上達しますか
用具は好みによる部分が大きく、特定のメーカーが優れていると言い切れるものではありません。最初は扱いやすいものを使い、自分のやりたい卓球が見えてきてからコーチや顧問の先生に相談するのが安心です。
Q. 1年目で勝てないと、続ける意味がないでしょうか
そんなことはありません。よくあるのが、勝敗だけで自分を測ってしまうことです。できるようになったことを数えていくと、伸びは必ず見えます。結果は、そのあとについてきます。
まとめ
中学から卓球を始めても、間に合います。大切なのは順番です。フォームより先に、まず返せること。サーブは一人でも練習できるので、ここで差をつけられます。そして下回転の処理を早めに覚えておくと、勝てる相手が増えていきます。
1年目は、できるようになったことの数を数える。2年目は、自分の勝ち方を一つ持つ。この置き方にすると、勝てない時期も前に進んでいる実感が残ります。
部活の練習を大切にしながら、自分で足せるところを少しずつ足していく。それが、いちばん確実な道です。
スタートが遅かったことは、弱点ではありません。伸びしろが多く残っているということです。今日の一球から、始めていきましょう。
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