伸びる子に共通していること|卓球の練習で見ているポイント

「うちの子は運動神経がないから」と思う前に、見てほしいことがあります

卓球を教えていると、同じ時期に始めた子でも、半年後には差がついていることがあります。ただ、その差の中身は、運動神経や体格ではないことがほとんどです。伸びている子には、練習中の行動にいくつか共通点があります。この記事では、その共通点を五つと、伸び悩んでいるときに出やすいサインをお伝えします。どれも、今日から変えられる行動の話です。

この記事でわかること

  • 練習中の行動から見える、伸びていく子の共通点五つ
  • 運動神経や体格の差より効いてくるものは何か
  • 伸び悩んでいるときのサインと、周りができる声かけ

言われたことを、まず試してみる

「やってみる」までの時間が短い

伸びていく子を見ていて一番はっきり違うのは、アドバイスを受けてから実際にやってみるまでの時間です。「じゃあ次の1本から」と言われて、本当に次の1本で試す。うまくいかなくても、もう1本試す。この速さが積み重なると、同じ1時間でも試行回数が何倍にもなります。

反対に、頭の中で納得してから動きたいタイプの子もいます。それ自体は悪いことではありません。ただ卓球の動作は、言葉で理解しきってから動くより、動きながら感覚をつかむほうが早いことが多いです。最初のうちは「10本やってダメだったら聞き直す」くらいの決め方にすると、動き出しやすくなります。

一度で変わらなくても、やめない

新しいフォームを試すと、たいてい最初は前より入らなくなります。ここで「やっぱり前のほうがいい」と戻してしまうと、変化は起きません。伸びる子は、入らない状態をしばらく受け入れられます。

よくあるのが、1回の練習で結果を判断してしまう場面です。人によって違いますが、フォームの修正が形になるまでには数週間かかることも珍しくありません。「今日は入らなくて当たり前」と最初に決めておくと、途中でやめずに済みます。

ミスの原因を考え、基礎練習を雑にしない

「ミスった」で終わらせない

ボールがネットにかかったとき、「ミスった」で終わる子と、「今のはラケットの面が下を向いてた」と言える子がいます。この違いは、次の1本の変わり方に直結します。原因が言葉になっていれば、直す場所が決まるからです。

ただ、これは最初から一人でできることではありません。まずは「今の、どうだったと思う?」と聞かれたときに、何か答えてみるところからで十分です。答えが外れていても構いません。考えて言葉にする習慣そのものが、あとで効いてきます。

原因を三つに分けて考える

言葉にするのが難しいときは、原因を大まかに三つに分けると考えやすくなります。一つ目は打ち方(面の向き、当たる位置)。二つ目は足の位置(打点に対して近すぎる、遠すぎる)。三つ目は判断(回転の読み違い、次の予測)。

多くのミスは、この三つのどれかに当てはまります。「打ち方じゃなくて、足が間に合ってなかった」と分かるだけで、次にやることが変わります。実は、上級者ほどこの切り分けが速く、だから修正も速いのです。

基礎練習こそ、ねらいを持って1本目から

フォア打ちやツッツキ(台の上で下回転のボールを小さく返す技術)のような基礎練習は、どうしても単調になります。ここで差が出ます。伸びる子は、同じ100本でも「今日は打点を少し早く」「今日は同じ場所に集める」と、自分でねらいを置いています。ねらいがあると、外れたときに気づけます。ないと、100本打っても「打った」という事実しか残りません。練習を始める前に一つだけ決める。それだけで中身が変わります。

練習の入り方も、意外と差が出るところです。よくあるのが、最初の10本を「ウォーミングアップだから」と流してしまう場面。強く打つ必要はありません。ラケットの面と、ボールが当たる位置。この二つだけ確かめながら入る子は、そのあとの1時間の質が上がりやすいです。

負けたあとと、続け方に出る差

引きずりすぎない子は、切り替えの手順を持っている

試合で負けて悔しいのは、当然のことです。悔しさそのものは、むしろ力になります。問題は、引きずる時間の長さです。次の練習まで気持ちが戻らないと、その1回分が失われてしまいます。

引きずりにくい子は、たいてい切り替えの手順を持っています。負けた試合で「うまくいったこと一つ」と「次に直すこと一つ」を、その日のうちに書き出す。あるいは口に出す。これだけで、負けが反省材料に変わり、気持ちも区切りがつきやすくなります。落ち込む必要がない、という話ではありません。落ち込んだあとの戻り方を持っている、ということです。

練習量より、途切れないこと

「もっとたくさん練習させたほうがいいですか」と聞かれることがあります。もちろん量は力になりますが、一度に増やすより、途切れないことのほうが効いてきます。週2回を1年続けた子と、一時期だけ週5回やって半年空いた子では、前者のほうが安定して伸びることが多いです。

卓球の技術は、体の感覚に残るものが多く、間が空くと戻すのに時間がかかります。人によって生活の事情は違いますから、無理に増やす必要はありません。今の回数を続けられる形にしておく。それが結果的に近道になります。

伸び悩んでいるときに出やすいサイン

質問が減り、練習の型が固定される

停滞しているとき、練習中の質問が減ることがあります。分かったから聞かないのではなく、「何を聞けばいいか分からない」状態になっていることが多いです。あわせて、毎回同じ順番、同じメニューで練習が進むようになります。

これは、本人が怠けているサインではありません。むしろ真面目に同じことを続けている結果です。こういうときは、メニューを一つ入れ替えるだけで動き出すことがあります。得意な技術を一つ外して練習してみる、といった小さな変化で十分です。

得意なパターンだけで練習が終わる

自分が入るコースばかり練習して、苦手な返球を避けるようになるのも、よくあるサインです。気持ちは分かります。入ると気持ちいいですし、入らない練習は楽しくありません。

ただ、試合で困るのはたいてい苦手なほうです。練習の最後に5分だけ、苦手なパターンを入れる。時間を区切ると、取り組みやすくなります。

当てはまらなくても、心配しなくて大丈夫です

ここまで挙げた共通点は、必ず備えていなければいけない条件ではありません。今すぐ全部できる子のほうが少ないですし、性格によって向き不向きもあります。慎重に考えてから動く子は、そのぶん理解が深く、あとから伸びることもよくあります。

一つだけ選ぶなら、「言われたことをその場で1本試す」からで十分です。周りの方も、できていない点を数えるより、試した瞬間に気づいて声をかけるほうが、変化が続きやすくなります。

よくある質問

Q. 運動が得意ではない子でも上達しますか

上達します。卓球は動作が細かく、力より正確さが求められる場面が多い競技です。人によって速さは違いますが、行動の積み重ねで変わっていく部分は大きいと考えています。

Q. 家で何かやらせたほうがいいですか

無理にやらせる必要はありません。強いていえば、その日の練習で「うまくいったこと」を一つ話してもらうだけでも十分です。言葉にする習慣が、練習中の気づきにつながります。

Q. 練習中に集中が続きません

最初のうちは、多くの子がそうです。時間で区切るより、本数で区切るほうが集中しやすい場合があります。「20本だけ丁寧に」と決めて、終わったら一度休む。この繰り返しが合う子もいます。

Q. 試合で勝てないと続ける意味がないでしょうか

そんなことはありません。勝敗はどうしても相手次第の部分があります。前より返せる球が増えた、同じミスが減った。こうした変化のほうが、本人には確かな手応えになります。

Q. 親が技術的なアドバイスをしてもいいですか

してはいけないということはありません。ただ、コーチの指示と食い違うと、子どもが迷ってしまうことがあります。気になる点があれば、直接コーチに伝えていただくほうがスムーズです。

まとめ

伸びていく子に共通しているのは、言われたことをまず試すこと、ミスの原因を自分の言葉にできること、基礎練習を雑にしないこと、負けを引きずりすぎないこと、そして続けられる形で練習を重ねていることです。どれも才能ではなく、行動です。

もちろん、今すべてが当てはまっていなくても問題ありません。一つずつで大丈夫です。まずは次の練習で、教わったことをその場で1本試してみる。そこから始めてみてください。


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