「勝てないなら、続ける意味がないのかな」と感じたときに
卓球を続けていると、どこかで一度は立ち止まる瞬間があります。試合に勝てない。ランキングが上がらない。子どもがなかなか結果を出せない。そんなとき、勝ち負けだけを物差しにすると、続けることがしんどくなってしまいます。
この記事では、勝敗とは別のところで卓球を通じて身につくと言われている力について、レッスンの現場で感じていることをお伝えします。数字で証明できる話ではありませんが、知っておくと日々の練習の見え方が少し変わるはずです。
この記事でわかること
- 卓球のラリーの中で自然と使っている集中や判断の働き
- 相手を観る力や、目標に向けて積み上げる習慣の育ち方
- 負けを経験することの意味と、大人にとっての卓球の役割
ラリーの中で使っている「集中」と「判断」
一球ごとに区切られる集中
卓球は、一球ごとにプレーが切れる競技です。サーブがあって、ラリーがあって、点が入って、また構え直す。この繰り返しになります。
長時間ぼんやりと集中し続けるのではなく、短い時間に集中して、区切って、また入り直す。この形が卓球の特徴です。こうした切り替えを繰り返すことで集中力が養われると言われていますが、効果の出方は人によって違いますし、はっきりと測れるものでもありません。ただ、レッスンをしていると、練習を重ねた方ほど一球ごとの入り方が丁寧になっていくのは感じます。
速い判断は「決める力」ではなく「準備の量」
卓球は判断が速い競技だと言われます。実は、上級者が特別に反射神経に優れているとは限りません。
やっているのは、来る前に絞り込む作業です。相手の構え、ラケットの角度、どこに立っているか。そこから「たぶんここに来る」といくつかに候補を減らしておく。だから間に合うわけです。よくあるのが、判断の速さを鍛えようとして、ひたすら速いボールを打ってもらう練習ばかりする形です。それよりも、相手の動きを見る余裕をつくるほうが近道になることが多いです。
最初のうちは追いつかなくて当たり前
最初のうちは、ボールが来てから考えていては間に合わない、という状態が続きます。これは誰もが通る道です。
できていないわけではなく、まだ見るべきポイントが決まっていないだけです。「相手のラケットの面だけ見てみましょう」というふうに、見る対象を一つに絞ると、急に反応が変わる方がいます。ここを変えると変わる、というのはこういう部分です。
相手を観る力と、積み上げる習慣
クセを見つけるという楽しみ
卓球は、台をはさんで相手と向き合う競技です。相手のサーブには必ずクセがありますし、苦手なコースもあります。
レッスンでよく聞かれるのが「どうやって相手の弱点を見つけるんですか」という質問です。特別な方法があるわけではなく、同じ場面を何度か見て気づく、という地道な作業です。この「観察して仮説を立て、試してみる」流れが、卓球以外の場面でも役立つ姿勢につながると言われることがあります。断定はできませんが、少なくとも相手をよく見る習慣は、練習の中で確実に増えていきます。
「先週の自分」を物差しにする
勝ち負けは相手次第で変わります。相手が強ければ、いい内容でも負けます。だからこそ、自分の中の物差しを持っておくと続けやすくなります。
先週できなかったツッツキ(台の上で下回転のボールを小さく返す技術)が、今週は三回に一回入るようになった。バック側に来たボールを、以前より落ち着いて返せるようになった。こうした小さな変化を積み重ねる習慣は、目標に向かって進む感覚を育てると言われています。人によって違いますが、記録に残す方が伸びを実感しやすい方も多いです。
あいさつと、道具を大切にする姿勢
卓球は、相手がいて、台があって、はじめて成り立ちます。試合の前後にあいさつを交わすのも、その延長にあるものです。
道具についても同じです。ラバーの表面を拭く、ラケットをケースに入れる、シューズをそろえる。こうした所作が競技力に直結するとは言えませんが、道具を大切にする姿勢が身につくと言われます。特定のメーカーが優れているという話ではなく、自分が選んだものを丁寧に扱う、という部分です。用具選びは好みによる部分が大きいので、迷ったらコーチに相談してみてください。
負けを経験することに、どんな意味があるのか
負けは「情報」に変えられる
試合で負けると悔しいものです。その気持ちは無理に消さなくていいと思っています。
ただ、少し時間が経ったところで、負けを情報として扱えると次につながります。どの場面で崩れたのか。サーブから始まるパターンだったのか、レシーブだったのか。一つでいいので取り出しておく。次の練習で取り組む中身が決まれば、その負けは無駄ではなくなります。
保護者の方へ、声のかけ方の話
お子さんが負けて帰ってきたとき、どう声をかけるか迷う方は多いです。よくあるのが、励まそうとして「次は勝てるよ」と言う形ですが、本人にはプレッシャーになることもあります。
その日の内容の中から、一つだけ良かった点を挙げてみてください。「最後まで足が動いてたね」くらいで十分です。結果ではなく過程に目を向ける声かけが、続ける力を支えると言われています。もちろん、これも家庭ごとの関わり方があるので、正解が一つとは限りません。
大人にとっての卓球と、日々の生活
週の中に「動く予定」が一つ入る
大人の方から聞くことが多いのが、運動する時間をなかなか作れない、という声です。
週に一度でも決まった時間に体を動かす予定があると、一週間の輪郭がはっきりしてくる、とおっしゃる方がいます。生活のリズムが整いやすくなるとも言われますが、これも個人差があります。仕事の都合で通えない週があっても、それで崩れるようなものではありません。
頭の中が静かになる時間
ラリーをしている間は、仕事のことを考えている余裕がありません。目の前のボールしか見えなくなります。
この状態が気分転換になるという方は多いです。運動そのものの心地よさに加えて、考えごとから離れられる時間として卓球を選ぶ方もいます。ただし、持病がある方や、膝や腰に痛みがある方は、無理をせず事前に医師に相談してから始めてください。
よくある質問
Q. 運動が苦手でも卓球はできますか
はい、できます。卓球は自分のペースでラリーを続けられる競技なので、体力に自信がない方でも取り組みやすいと言われています。最初のうちは軽く汗をかく程度から始めて問題ありません。
Q. 子どもに卓球をさせると集中力がつきますか
集中力が養われると言われることはありますが、断定できるものではありません。効果の出方には個人差がありますし、本人が楽しめているかどうかのほうが大きいと感じています。
Q. 大人から始めても上達しますか
人によって違いますが、大人から始めて上達される方はたくさんいらっしゃいます。体の使い方を理屈から理解できる分、飲み込みが早い場面もあります。焦らず基本を積み重ねるのが近道です。
Q. 試合に出るつもりはなくても続けられますか
もちろんです。運動不足の解消や気分転換を目的に続けている方も多くいます。目的が違えば練習の中身も変わりますので、遠慮なくコーチに伝えてください。
Q. 負けが続いて子どもがやる気を失っています
まずは結果以外の変化に目を向けてみてください。フォームや動きは、勝敗とは別のところで着実に変わっています。本人のペースが落ちているときは、練習量を一度減らす選択もあります。
まとめ
卓球で身につくと言われるものは、集中の切り替え、判断のための準備、相手を観る力、積み上げる習慣、そして道具や相手を大切にする姿勢です。どれも数値で測れるものではありませんし、身につき方は人によって違います。
負けた日にも、残るものはあります。その一つを次の練習に持っていければ、続けた時間は形になっていきます。
勝ち負けは、卓球が持っている面白さの一部にすぎません。ラケットを握った時間そのものが、あなたの中に何かを積み上げています。
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