練習では入っていたのに、試合になると弾道が変わる気がする
同じように打っているつもりなのに、球の飛び方だけが違う。実は、その正体がボールそのものにあることは珍しくありません。
卓球のボールには、試合で使われる公認球といわゆる練習球があり、丸さのそろい方、重さのばらつき、割れにくさが違います。
この記事では、その差がどこから生まれるのか、そして手元のボールがもう寿命なのかをどう見分けるのかを整理します。
道具の話は難しく聞こえますが、覚えることは多くありません。
この記事でわかること
- 公認球(3スター)と練習球は、何がどう違うのか
- 素材が移り変わったことで、打球感がどう変化したと言われているか
- 割れ・変形・汚れの見分け方と、ボールを入れ替える目安
3スターと練習球は、どこが違うのか
星の数は、そのボールの等級を示しています
パッケージに書かれた星印は、メーカーが自社製品の中で位置づけている等級のようなものです。一般に、星が多いほど基準が厳しく、試合用として作られています。星のないボールや、レッスン用と書かれたボールは、量をたくさん打つための練習球です。
よくあるのが、「星が多いほど飛ぶ」という理解です。そういう性質のものではありません。星が示しているのは、飛距離や威力ではなく、一球一球のそろい方です。同じ箱から取り出したどの球も、ほとんど同じように飛ぶこと。その安定性が、試合用に求められています。
なお、公認球として認められる条件は競技団体の規定で定められており、内容は改定されることがあります。細かい数値を知りたい場合は、その時点の最新情報をご確認ください。
真円度、つまり「どれだけ真ん丸か」
いちばん大きな違いは、真円度です。真円度とは、球がどれだけ正確な球体に近いかを表す言葉です。目で見て分かるほど歪んでいるわけではありませんが、わずかな差でも、台の上での跳ね方には出てきます。
わずかに歪んだ球は、着地したときに進む向きがほんの少しずれます。ドライブとは、ボールに上回転をかけて弧を描かせながら打つ攻撃技術のことですが、この上回転がかかった球は特にその影響を受けやすくなります。狙った場所より外に流れる、あるいは思ったほど伸びない。そうした小さな違和感が積み重なります。
重さのばらつきと、耐久性
重さも同じです。規定の範囲に収まってはいても、その範囲のどこにいるかが一球ごとに違えば、飛び方はそろいません。重めの球はやや直線的に、軽めの球はやや浮きやすく感じられることがあります。
耐久性にも差があります。試合用に作られた球のほうが、割れや変形に強い傾向があるとされています。ただし、これはメーカーや製造時期によっても違いますし、使い方でも変わります。人によって違いますが、練習量の多い方ほど、この差を実感しやすいようです。
素材が変わり、打球感も変わりました
セルロイドからプラスチックへ
かつての卓球のボールは、セルロイドという素材で作られていました。その後、素材や安全性をめぐる事情から、プラスチック製のボールへと国際的に移行が進みました。移行の時期や進み方は地域や大会によって差があり、しばらくは両方が混在していた期間もあったと言われています。ここでは年号を断定せず、そういう流れがあった、という程度に押さえておけば十分です。
打球感がどう変わったと言われているか
一般に、プラスチック製になってから、回転がややかかりにくくなった、弾みが少し変わった、といった声が聞かれます。ただし、これは感じ方に個人差がある部分です。技術も用具も、その後さらに進化しています。
大切なのは、「昔はこうだった」という話に引っ張られすぎないことです。今のボールに合わせて、今の打ち方を作っていけばよいだけです。ブランクのある方が久しぶりに打ったときに感覚が違うのは、腕が鈍ったからではなく、道具が変わっているからという場合もあります。
硬さや作り方にも幅があります
プラスチック球にも、作り方や継ぎ目の有無などいくつかの種類があります。どれが優れているという話ではなく、それぞれ特徴が異なります。好みによる部分も大きいので、迷ったときはコーチにご相談ください。
試合で使う球で練習する意味
感覚の基準をひとつにする
普段やわらかめの練習球で打っていて、試合当日に硬めの公認球を渡される。それだけで、球の下がり方も、回転のかかり具合も少し変わります。最初のうちは違いが分からなくても、勝負どころの一本で「あれ」と感じることがあります。
だからといって、毎日すべてを公認球でやる必要はありません。多球練習のように何十球も連続で打つ場面では、練習球で量をこなすほうが合理的です。ボールが安く済むぶん、回数を増やせます。
大事な場面の前だけ、そろえておく
現実的なのは、使い分けです。基礎練習や量をこなす日は練習球で。試合が近い時期や、ゲーム形式で実戦を想定する日は公認球で。この切り替えがあるだけで、当日の違和感はかなり減らせます。
もうひとつ、試合で使われる球の銘柄が事前に分かる大会もあります。分かるのであれば、その球で何度か打っておくと安心材料になります。
傷んだボールを見分ける
割れとひび
いちばん分かりやすいのが、割れです。強く打ち込んだ球や、床で踏んでしまった球は、細いひびが入っていることがあります。指で軽く押すと、ぺこりとへこんで戻らない。あるいは、床に落としたときの音が他の球と明らかに違う。これはもう役目を終えたサインです。
割れたまま使うと、跳ね方が不規則になるだけでなく、破片で怪我をする可能性もあります。見つけたらすぐに抜いてください。
変形と、転がしテスト
割れていなくても、少し歪んでしまうことがあります。分かりやすいのは、台の上で転がしてみる方法です。まっすぐ転がらず、ゆるく弧を描いたり、途中でふらついたりする球は、どこかが歪んでいます。
もうひとつ、指先で挟んで回してみる方法もあります。回転が滑らかでなく、こつこつと引っかかる感じがあれば、真円が崩れています。慣れると数秒で判別できるようになります。
汚れと、入れ替えの目安
床の汚れが付いた球は、滑って回転がかかりにくくなります。乾いた布で軽く拭くだけで戻ることも多いので、まずは拭いてみてください。水洗いは、乾かし方によっては傷める場合があるため、あまりおすすめしません。
戻らないのは、表面がすり減ってつるつるになっている場合です。新しい球と並べてみると、光の反射の仕方が違って見えます。ここまで来たら交換の時期です。
交換の周期は、練習量によって大きく変わります。目安として、週に数回打つ方であれば、練習球は数か月ごとに見直す方が多いようです。公認球は、試合を想定した練習に使うぶん、少し早めに入れ替えておくと感覚がぶれません。
日付だけで決めるより、転がしテストを習慣にするほうが確実です。練習の最初に数球だけ転がしてみる。それだけで、傷んだ球が混ざったまま一日打ち続けることを防げます。
よくある質問
Q. 練習球だけで上達できますか
できます。基本の動作を身につける段階では、球の等級より打つ回数のほうが効いてきます。試合が視野に入ってきた時期に、公認球を混ぜていけば十分です。
Q. 公認球はどれくらい持ちますか
打ち方や練習量で大きく変わるため、一概には言えません。人によって違いますが、強く打ち込む方ほど早く傷みます。周期で決めず、状態で判断するのがおすすめです。
Q. どのメーカーの球を選べばいいですか
優劣を決められるものではなく、好みによる部分が大きいです。まずは公認球であることを確認して、あとは打ってみた感触で選んでいただければ十分です。迷ったらコーチにご相談ください。
Q. へこんだ球はお湯で戻せますか
昔からそう言われますが、素材が変わった今のボールでは戻らないことがほとんどです。無理に温めると変形が悪化する場合もあるため、交換をおすすめします。
Q. 色が違う球は性能も違いますか
一般に、白とオレンジで基本的な仕様が変わるわけではありません。会場の背景や照明との見やすさで選ばれることが多く、見え方の好みも人それぞれです。
まとめ
3スターと練習球の違いは、真円度、重さのそろい方、そして耐久性です。素材がプラスチックへ移り変わった経緯もありますが、細かい規格は改定されることがあるため、必要なときに最新情報を確認すれば十分です。
普段は練習球で量をこなし、試合が近づいたら公認球で感覚をそろえる。そして、練習前に数球転がして、傷んだ球を抜いておく。この二つだけで、道具のせいで崩れる場面はぐっと減ります。
打ち方を変えるより先に、まずは手元のボールを一度確かめてみてください。案外そこに、答えが転がっているかもしれません。
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